スモールビデオガレージ(SVG)
第4回シチュエーション別撮影心得「セミナー撮影心得(準備編)」
一般的なお仕事でビデオカメラに触れることが一番多いであろうセミナー、講演等の撮影。
例えば総務部の事務職の方がなんとなく「記録だからさ、ちょっと撮っといてよ」と気軽に頼まれることも多いはず。
しかしいざ撮り終えた映像を見るとああでもないこうでもないと文句を言われることも多い。できあがったものには文句を言うのが人情。釈然としませんがよくあることです。
また、きっとこのようなお仕事を依頼される方は職場のバイプレイヤーとしてご活躍されてる方がほとんどでしょう。そんなお忙しい方が少しでも楽に、失敗なくセミナーを収録し、最後に「ありがとう」と感謝されることであって欲しい。
そんな気持ちのいいお仕事のためにも、この手のお仕事をよく頼まれる方には以下に注意してみてください。
■前提
以下のような条件で撮影すると仮定します。
- 家庭用ビデオカメラで撮影
- 三脚を立てて撮影
- 音声はカメラ内蔵マイクで収録
- セミナーの一部ではなく全編を撮影
- 納品は撮ったテープやファイルだけで保管(編集やDVD化しない)
■事前準備
- 会場の確認
→遠方で難しい場合は、管理者に無理を言ってその場の写真や図面などを取り寄せましょう。 - コンセント場所のチェック
→念のためすべてのコンセント場所を確認。 - スピーカー位置
→カメラマイクで収録するので、カメラの近い位置に演者、もしくはスピーカーがあるかどうか確認。なるべくスピーカーの近くに位置取りしてください。 - 演者さん確認
→ご本人がマイクを使われるか否かを確認。使われない場合は声が届かないので前方での撮影が必須です。
組織にいらっしゃる方は、
少々あざといですが保身のためにも「準備は万全にする」作業を大ぴらに行いましょう。あなたのご努力やご心配はそういう動きでもないと伝わりません。
■撮影位置決め
この作業がセミナー撮影においてかなり重要です。撮影することと同じぐらい重要。
通常、参加者の邪魔にならないよう最後方で撮ることがほとんどですが、最後方の場合、
迫力のない映像、望遠のため演者が大きく映らない、望遠のため手振れや三脚操作が難しい、通路を通る人や参加者の頭が邪魔になる、後方で私語をする人の声が入ってしまう、高い位置で撮影する必要がある、とあまりいいことがありません。
余談ですが、私も通路が狭い教室の後方通路で撮影してたところ、遅刻して入ってきた学生さんにすれ違いざまに不意に体当たりされてしまい、三脚もろとも動いてしまった。という苦い経験があります。きちんと申請して1席空けてもらえばよかったと後悔しました。
撮影者はエライんです。だめもとで、まずは可能な限り前列で撮れるよう交渉してみてください。
「○○先生基調講演」みたいなセミナーでもない限りだいたいOKを頂けるものです。
ここでいかに図々しくなれるかがよい映像を撮れるかどうかのカギになります。
もし前列、前方で撮影できる場所を得ましたら、
- 席は確保できるか?左右の通路で立ち撮影か?
- プロジェクターの邪魔にならないか?
- 近場のコンセントから電源コードをひけるか?
- 座って撮影、立って撮影?
- 三脚は机上に置かず必ず床に設置させる。
- スピーカーは近くにあるか?もしくは演者さんの声が直接入るか?
もし最後列、後方で撮影となったら、
- 席は確保できるか?通路での撮影か?
- ドアの邪魔にならないか?人の導線の邪魔にならないか?
- 三脚を蹴飛ばされたりしないか?(白いテープなどでエリアを確保する)
- 近場のコンセントから電源コードをひけるか?
- 高い位置から撮影できるか?(可能ならお立ち台や踏み台などを準備)
- お立ち台や踏み台などの準備を会場にお願いできるか?(ホテルの宴会場などはお願いできることあり)
- 近くにスピーカーがあるか?(演者さんが遠いのでスピーカー位置は重要です)
会場の音響機器(PA)は、その場の参加者にうまく聞こえるようにセッティングされてます。
これがカメラマイク収録となると意外と言葉が聞き取りにくいものです。可能なら、事前に会場で直接マイクを使って喋り、どのように音声が録音されるか確認すれば完璧です。(特に新品のカメラの場合)
■機材チェック
ビデオカメラ
- テープ式カメラの場合
→セミナーの時間がテープ1本の時間より長い場合、テープ交換時に未収録部分ができることを事前に確認しておく。 - メモリ式カメラの場合
→カメラによっては、長時間回してるとほんの0.数秒の空白(生成されるビデオファイルの切り替わり部分)ができる機種もあります。もしそのような空白がある場合、問題ない程度の空白か?確認しておく。 - (一眼)デジカメ系カメラ
→最近はきれいな映像が撮れるデジカメも増えました。ただ長時間撮影用に作られてないので様々な弊害もあります。事前にチェックしておきましょう。- 連続で最長何分撮れるか?
→デジカメ映像モードの多くは熱問題等のため数十分しか連続撮影できません。カタログスペックではなく実際に何十分動くか試しておきましょう。(会場の温度にも左右されることにご注意) - 音声はきちんと録れるか?
デジカメ系はここが弱い。できるだけ実際に会場で撮影(録音)してみてどのように収録されるか確認しましょう。
※大事な映像であれば、デジカメで撮影することはお勧めしません。
- 連続で最長何分撮れるか?
三脚
- 三脚はできるだけしっかりしたものを使います。
- 三脚は、静止画カメラ用とビデオカメラ用が異なります。もし新たにご購入される場合はビデオ用三脚をご購入下さい。
- 新規ご購入の際は、ビデオコーナーのあるカメラ屋の店員さんによく聞いて買うことをお勧めします。
- 安い三脚もありますが、安物=カメラマンが苦労する ことになります。
- もし後方撮影で背の低い三脚しか用意できない場合、お立ち台、専用の机(揺れるので他の人には使わせない)、踏み台、など高さを増すものを準備しましょう。
電源
- 十数分で終わるセミナーなら問題ないですが、長時間のセミナーならできるだけ電源コンセントを繋いで撮影しましょう。
- 撮影位置から一番近いコンセントまでの距離を確認し、電源コード、電源ドラムなどを用意。
- 長い距離のコードをひく際は、家電店で売ってる電源タップよりも、ホームセンターなどで売ってる電源コードがしなやかでクセがなく(足をかけにくい)値段も手ごろでオススメです。
例えばこんなの↓
- 参加者が足をひっかけないよう、ガムテープじゃない養生テープ(のりが残らないテープ)なども準備。(コンセントの抜け止めにも)
- レンタルする会場によってはコンセントひとつも別料金という所もあります。うるさそうなら主催者に確認。
- 念のためバッテリーも準備(事前に充電を)
- 当日、緊急でプロジェクターやパソコンの電源を貸して!などとお願いされることもあるかも。
もしそれが撮影の支障になるようなケーブル取り回しであれば、きっぱり断りましょう。まず大事なのはあなたの撮影作業を全うすることです。もろもろ準備完了して落ち着いたら手伝ってあげてください。
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まとめ
撮影位置決めの章でも書きましたが、まずはよい映像をとるためにケンカしない程度に図々しくカメラマンの権利を主張してください。
厄介なのは、カメラマンとセミナー主催者との間に別の担当者などがいる場合。こちらの要望も曖昧に処理されてしまうことも。そんなときは以上のことを説明して、少しでも安定した環境で撮影されてください。
安定した環境で撮影することが、結果的に冷静になり、失敗せず、よい映像が撮れるようになれます。
ご不明な点、こんなこと教えて欲しいというご要望はどうぞ大木までお問合せください。
次回は撮影本番編をお送りします。が、実はもうこの準備編でほとんどお仕事は終わっちゃてるので、本番編ではボタンを押すだけ、寝ない、という記事になりそうです。すいません。
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このページはO.W.ガレージ 大木がお送りしております。( http://owg1.com/ )